肖像権に関する代表的判例

パブリシティ権(財産権)

マーク・レスター事件

日本で最初に芸能人の氏名や肖像の商業的な利用について法的な保護を認められた事例がこの「マーク・レスター事件」です。 この事件は、あるお菓子メーカーが、当時、世界的に人気を博していた子役俳優であったマーク・レスターの出演する映画「小さな目撃者」のワンシーンを無断でテレビコマーシャルに使用し、同時に、「マーク・レスターも大好きです。」というナレーションを入れていたことについて、マーク・レスターがこのお菓子メーカーを相手方として、損害賠償と謝罪広告を求めたというものです。

これに対し裁判所は、次のように、マーク・レスターの損害賠償請求を認めました。 「俳優等の氏名や肖像を商品等の宣伝に利用することにより、俳優等の社会的評価、名声、印象等が、その商品等の宣伝、販売促進に望ましい効果を収め得る場合があるのであって、これを俳優等の側からみれば、俳優等は自らかち得た名声の故に、自己の氏名や肖像を対価を得て第三者に専属的に利用させうる利益を有しているのである。ここでは、氏名や肖像が、…人格的利益とは異質の、独立した経済的利益を有することになり(右利益は、当然に不法行為によって保護されるべき利益である。)、俳優等はその氏名や肖像の権限なき使用によって精神的苦痛を被らない場合でも、右経済的利益の侵害を理由として法的救済を受けられる場合が多いといわなければならない」

この判決では、パブリシティ権という言葉こそ使われていませんが、この判決でいうところの俳優等の自己の氏名や肖像を「第三者に専属的に利用させうる経済的利益」は、まさに今日のパブリシティ権の概念と同様と考えられています。この事件以降、芸能人の氏名や肖像の商業的な利用について法的な保護を認める判例が登場するようになりました。