芸能プロダクションの業務内容
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Q
「芸能プロダクション」とは何ですか?
A
タレントを発掘、育成し、マネジメントを行う会社です。
一概に「プロダクション」と言っても、映像制作プロダクション、出版編集プロダクション、舞台制作プロダクションなどが存在しますが、タレントを発掘、育成し、マネジメントする事業を行う会社を一般的に「芸能プロダクション」と言います。
当協会(日本音楽事業者協会)は、我が国で最も歴史のある芸能プロダクションの事業者団体として、広く認知されております。
(正会員一覧) -
Q
芸能プロダクションはどんな仕事をしているのですか?
A
タレントのプロデュースおよびマネジメントによって、タレントの価値を高め、エンタテインメントを創造しています。
芸能プロダクションは、才能の原石を発掘し、育成します。タレントが成功するためには、タレントの生まれ持った才能ももちろん重要ですが、才能があるタレントがすべて成功する訳ではありません。芸能プロダクションが優秀なスタッフを確保し、その知識や経験に基づき、より多くのファンを獲得できるように方向性を定め、広告宣伝、企画、営業その他のプロモーションにより、タレントの出演機会を増やすことで成功への道筋ができあがります。
さらに、タレントの能力やキャラクターを見極めつつ、タレント本人が気づいていなかった潜在能力を引き出すことも芸能プロダクションの重要な仕事といえます。例えば、歌手として芽が出なかったタレントに俳優の素質を見出し、俳優として活動させたところ成功したなどという例は、枚挙にいとまがありません。人気のあったタレントが時代の変化とともに活躍の場を失っていくこともありますが、その場合にも、芸能プロダクションは時代に即したタレントの新たな魅力を創造していくこととなります。 -
Q
ハリウッドなど海外の芸能界にみられるエージェントシステムと芸能プロダクションの違いは何ですか?
A
リスク負担の主体者が違います。
欧米をはじめとする諸外国では、タレント本人が、マネージャーや弁護士など業務に関するそれぞれの専門家と自ら契約するエージェントシステムが主流です。一方で、芸能プロダクションは、プロダクションが資金を投資し、発掘、育成、制作、宣伝、営業のほか、経理、法務などタレントプロデュースにかかるあらゆる業務を行っていくビジネスモデルです。
したがって、資金面などあらゆるリスクは、欧米型のエージェントシステムではタレント本人が負うことになりますが、芸能プロダクションの場合はプロダクションが負うことになります。 -
Q
芸能プロダクションはどのような方法でタレントを発掘しているのですか?
A
オーディションやコンテスト等のほかに、街頭でスカウトすることもあります。
ただし、芸能プロダクションの関係者を装った者からの怪しげなスカウト行為により被害を受けてしまったという実例があることも確かです。そのため、街頭で声をかけられたときは、相手が信用に足りるかどうか慎重に見極めることが肝要かと思われます。
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Q
芸能プロダクションとタレントはどのような契約を結ぶのですか?
A
専属契約を締結します。
専属契約とは、お互いに専門性の高い業務を提供し合うことで、協働してエンタテインメント活動を行うことを定めた契約です。この専属契約によって、タレントは芸術活動に専念することができ、質の高いエンタテインメントを創造し続けることができます。
また、こうした専属契約があるからこそ、放送局、映画会社、レコード会社等のエンタテインメント企業や広告代理店、スポンサー企業等は、芸能プロダクションを通して安心してタレントに仕事を依頼することができるのです。 -
Q
芸能プロダクションとタレントはどのような関係ですか?
A
同じ目的のために協働するパートナーシップです。
芸能プロダクションとタレントは、独立の当事者であり、相互に専門性の高い業務を提供し合うことで、協働してエンタテインメント活動を行います。
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Q
タレントはフリーランスなのですか?
A
フリーランスではありません。
フリーランスとは、特定の企業や団体に所属せず活動する人のことを指しますが、タレントは一般的には芸能プロダクションに専属的に所属し、芸術活動を提供します。プロスポーツ界等と同様、専属的に所属することによってビジネスが成立しています。
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Q
タレントの報酬は、どのように決められているのですか?
A
タレントの報酬の定め方は様々です。
「歩合制」すなわち、タレントの活動により、芸能プロダクションが得た収入の一定割合をタレントに支払う方法もあれば、タレントによる売上の多寡にかかわらず、一定額を支払う「固定制」の場合もあります。タレントの活動年数や実績、将来性等様々な要素を考慮して、タレントと芸能プロダクションが合意のうえ決定します。
なお、タレントの芸術活動に必要な経費の負担についても、合意のうえ契約で決定します。 -
Q
芸能プロダクションがタレントに無理やり仕事をさせることはありますか?
A
仕事を強要することはありません。
芸能プロダクションとタレントは、独立の当事者であり、芸能プロダクションがタレントに指揮命令するものではありません。芸能プロダクションは、タレントが成功するために一定の方針でプロモーションし、タレントに様々な提案をします。時には、タレントが乗り気でない場合でも、タレントのためになると思えば、説得することはあります。しかしながら、決して強要するものではなく、タレントは、意に反するものであれば、芸能プロダクションの提案した活動を断ることもできます。
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Q
芸能プロダクションに所属して、すぐに売れないと契約解除されますか?
A
すぐに契約解除されるということではありません。
芸能プロダクションが多額の費用を投入してタレントを育成しても、すべてが成功するとは限りません。短期間で成功する場合もあれば、そうでない場合もあります。もちろん、ビジネスであるため、なかなか成果がでない場合には契約を更新しないこともありますが、芸能プロダクションはこうした成功しないというリスクを引き受けながらも、タレントの可能性を引き出すために時間と労力と資金を投資しています。
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Q
一度契約すると、他の芸能プロダクションには移籍しづらいのですか?
A
専属契約の期間満了をもって移籍できます。
芸能プロダクションとタレントで合意していますので、専属契約の期間中は移籍することはできませんが、契約が終了した場合には、他の芸能プロダクションに移籍できます。
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Q
芸能プロダクションを辞めると、他の芸能プロダクションとは契約しづらくなるのですか?
A
辞めても、他の芸能プロダクションと契約しづらくなることはありません。
専属契約が終了し、他の芸能プロダクションとマネジメント方針や報酬等の条件が合致すれば、契約できます。
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Q
タレントが別の芸能プロダクションに移籍すると、仕事がなくなるのですか?
A
タレントの資質や移籍先プロダクションのプロデュース力など、複合的な要因により様々です。
タレントが成功し、それを継続していくためには、タレント自身の才能に加え、芸能プロダクションのプロデュース力も重要な要素となりますので、移籍の結果、以前に比べて仕事が減ることはあります。逆に、移籍後に更なる飛躍を遂げたタレントの例も少なくありません。
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Q
専属契約期間中であっても、契約を終了することはできますか?
A
合理的な理由があれば、休業や廃業することはできます。
専属契約の期間中は移籍することはできませんが、合理的な理由があれば、休業や廃業することはできます。
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Q
専属契約の内容は、芸能界全体で統一されているのですか?
A
統一されておらず、芸能プロダクションおよびタレントにより内容は様々です。
芸能界をはじめ、多くの業界団体は、ひな形となる標準契約書を作成しておりますが、標準契約書をそのまま使用する場合もあれば、顧問弁護士に相談するなどして、独自の内容にアレンジする場合もあります。
当協会でも加盟社の要望に応え、芸能プロダクションとタレントとの専属契約のモデル契約書を作成、長年にわたり提供しております。なお、本契約書について、2019年11月に公正取引委員会の支援のもと一部改訂を行いました。(詳細はこちら) -
Q
インターネットでタレントに関するニュースをよく目にしますが内容が千差万別です。
どのような情報を信じればいいですか?A
真実性の裏付けをとっている情報かどうかの見極めが必要です。
一概にどのような情報を信じればよいか示すことは困難です。一般論としては、関係者に自ら取材するなどして、情報の真実性の裏付けをとっている情報が信頼性の高い情報といえますので、記事の内容がそうしたものであるかどうかを見極めることが大切です。